相続に関するよくある質問

目次

Q 被相続人が死亡し,プラスの財産とマイナスの財産のどちらが多いか分からない場合はどうすればいいの?

A 限定承認という方法があります。

  通常,相続をすると,プラスの財産とマイナスの財産は相続人にすべて引き継がれます。しかし,限定承認を行うと,マイナスの財産の返済については,相続したプラスの財産の範囲で行えばよいことになります。したがって,限定承認をした場合,プラスの財産でマイナスの財産が返済できたら余った分を相続できるし,足りなくてもそれ以上を支払う必要はないというメリットがあります。

  ただ,この限定承認という方法は,相続の開始があったことを知ったときから3か月以内に,相続人全員が共同でする必要があるという要件の厳しさに加えて,その手続きが煩雑という問題点がありますので,制度としては存在するものの,実務上はあまり用いられていません。

 

Q 遺言書を自分で書こうと思っていますが,問題があるでしょうか?

A 法律に定められた要件を欠くと効果が発生しないので,注意が必要です。

  自分で書く遺言を自筆証書遺言といいますが,これは軽易な方式の遺言であり,自書能力さえ備わっていれば他人の力を借りることなく,いつでも自らの意思に従って作成することができます。

  ただし,自筆証書遺言は,全文,日付,名前を手書きし,これに押印する必要があります。このうちどれかが欠けていれば,効果が発生しません。また,開封時には家庭裁判所による検認が必要です。

  このように,作成は簡単でも注意点が多い仕組みになっています。

  なお,相続法改正により,自筆証書遺言に関しては,財産目録については自書しなくてもよくなりましたし,法務局における保管制度も創設されましたので,利用しやすくなったといえます。

 

Q 前妻との間の子に相続財産を渡したくない場合どうすればいいの?

A 可能な限り生前贈与をして相続財産を減らすか,前妻との間の子を含めない形で財産を分けるという内容の遺言書を作成するのがよいでしょう。

  ただし,どちらの方法にも問題があります。

  生前贈与は,特別受益とされてしまえば,相続財産に持ち戻されてしまうので,意味がなくなってしまいます。また,まったく渡さないという内容の遺言書を作っていたとしても,前妻との間の子には遺留分がありますので,その範囲については最終的には渡さざるを得ません。

  そこで,あらかじめ前妻との間の子の遺留分を考慮して,それを侵害しない程度の財産を渡すという内容にしておけば,余計な紛争が生じることを防ぐことができます。

 

Q 遺言で遺産を相続させようとしていた人が先に死亡した場合の遺言書の効力はどうなるの?

A 遺言の効力は生じません。

  ただし,例外的に,遺言書の他の記載,遺言書作成時の状況,遺言者の置かれていた状況などから,遺産を相続させようとしていた人の相続人(代襲相続人)に相続させる意思があったと考えられるような特段の事情があれば,遺言は有効となります。

 

Q 株式が遺産に含まれていた場合,相続の手続きはどうなるのでしょうか?

A まずは,通常の相続と同様に①遺言書の有無と内容を確認し,並行して②相続人の調査を行います。そして,③株式を含めた相続財産の調査を行い,④相続するか放棄するかを決めます。この際,⑤相続人が複数いる場合には遺産分割を行うことになるのですが,⑥株式を相続した場合には株式の名義を変更する必要があります。最後に,⑦相続税がかかる場合は相続税の申告と納付を行います。なお,⑧株式を売却して現金化した際に譲渡益が生じた場合は,確定申告を行う必要がある場合があります。また,⑨被相続人が株を持っている場合,亡くなった年に配当金があったり,譲渡益があったりすることもあるので,場合によっては,準確定申告を行う必要があります。

 

Q 葬儀費用を相続財産から支出しても相続放棄はできるの?

A 相続放棄が受理される可能性があります。

  そもそも,相続財産の全部または一部を処分したときには単純承認したものとして,相続放棄ができなくなります。ですので,葬儀費用を相続財産から支出した行為が,相続財産の処分に当たるのかが問題となります。

  この点,裁判例は,相当額の葬儀費用を支出したという場合には,単純承認の要件である相続財産の処分には当たらないとする傾向にあります。

  したがって,相当額の支出を相続財産からしたにとどまる場合には,相続放棄が受理されるものと思われます。

  なお,2019年(令和元年)7月1日に相続法が改正され,相続財産の預貯金について,遺産分割協議前であっても,一定額を相続人単独で払戻しできる制度が創設されましたので,これによって引き出したものを葬儀代に充てるということができるようになっています。

 

Q 亡くなった父の入院費や治療費を支払いました。それでも相続放棄はできるの?

A 相続放棄が受理されない可能性があります。

  これについても,入院費を支払った行為が相続財産の処分に当たるのかが問題となります。

  被相続人が支払うべき入院費を自分のお金で立て替えたというのであればまだしも,相続財産の中から支払ったという場合には,相続財産の処分に当たるものと考えられます。

 

Q 相続放棄はどのようにすればよいでしょうか?

A 相続の開始を知ったときから3か月以内に,家庭裁判所に申述することできます。

  このとき,裁判所には,相続放棄の申述書,被相続人の住民票除票または戸籍附票,申述人の戸籍謄本などの必要書類を提出することになります。これにより,家庭裁判所に相続放棄を認められ,初めから相続人でなかったことになります。

  ただし,相続の開始を知ってから3か月を過ぎているとき,相続財産の全部または一部を処分したとき,相続人が相続財産の全部または一部を隠匿,消費したとき,存在することを知っていたのに相続財産の目録に記載しなかったときなどは,単純承認したものとして,相続放棄が認められませんので,注意が必要です。

 

Q 被相続人の死亡後,自筆の遺言書を発見し,検認手続を経ずに開封してしまった場合はどうなるの?

A 検認手続きを経ずに開封したからといって,直ちに遺言が無効になるということはありませんが,過料に処される可能性があります。

  検認とは,遺言書の内容を偽造・変造されないために裁判所が証拠を残す手続きですので,これをしなくとも自筆証書遺言の要件が整っているのであれば,遺言は有効です。

  では,遺言の効力に影響を与えないのであれば,検認を経ずに開封してもよいのではないかと考えるかもしれませんが,検認を経ずに家庭裁判所以外の場所で遺言を開封した人は,5万円以下の過料に処されますので,注意してください。しかも,これはわざと開封した場合に限られていませんので,より一層の注意が必要です。なお,過料とは,文字通り「過ち料」のことで,イメージとしては罰金のようなものですが,罰金とは違って刑事罰ではないので,前科がつくわけではありません。

  なお,相続法改正によって新設された自筆証書遺言の保管制度では,法務局の遺言書保管所に保管されることになるので,遺言書の内容が偽造・変造されるおそれがなく,検認手続は不要とされています。こういった意味でも,この制度を利用する利点があるといえるでしょう。

 

Q 義理の兄弟へ財産を渡したい場合,どうすればいいの?

A 義理の兄弟には相続権がないので,法定相続によって財産を渡すことはできませんが,生前贈与や遺言で財産を渡すことができます。

  まず,前提として,相続権が誰にあるのかを考えます。

  順番として,配偶者がいれば,それは必ず相続人になります。

  次に,子ども(前の配偶者との間の子や養子も含みます。)がいる場合を考えます。相続開始時に配偶者と子どもがいる場合には,配偶者と子どもが相続人になります。配偶者がおらず子どもがいる場合には,子どものみが相続人になります。なお,子どもが既に亡くなっている場合には,子どもの子ども(孫)が代わりに相続人になります。

  それでは,子どもや孫などの直系卑属がおらず,親がいる場合を考えます。配偶者がいる場合は配偶者と親が相続人になります。配偶者がいない場合は親のみが相続人になります。なお,親が既に亡くなっている場合は親の親(祖父母)が代わりに相続人になります。

  最後に,子どもや孫などの直系卑属も親や祖父母などの直系尊属もおらず,兄弟姉妹がいる場合を考えます。このときは,配偶者がいる場合は配偶者と兄弟姉妹が相続人になります。配偶者がいない場合は兄弟姉妹のみが相続人になります。

  したがって,義理の兄弟は,このうちのどこにも含まれず,本来,相続権がない人ということになります(もっとも,その義理の兄弟が親と養子縁組を結んでいる場合には,兄弟姉妹として相続権が発生する場合があります。)。

  このように相続権のない義理の兄弟に財産を渡すためには,生前贈与や遺言・遺贈を行うことが考えられます。しかし,義理の兄弟にすべての財産を渡そうとしても,本来の相続人のうち一定の範囲の人であれば,遺留分をもっていますので,これを侵害されたとして,遺留分侵害請求をする可能性があります。なので,事前にその紛争を回避するために,遺留分を侵害しない程度の財産は,本来の相続人に渡しておくというのがよいと思われます。

 

Q エンディングノートって有用なの?

A 使い方次第ですが,概ね有用です。

  エンディングノートとは、万が一の場合に備えて,遺族や友人、知人に伝えたい内容を書き残すためのノートのことです。法的拘束力はないので,あくまで、遺族や友人・知人の負担を減らすことが目的です。

  ここには,一般的に,葬儀の方法,医療・介護の方法,遺産の分け方に関する情報などが書かれます。こうすることにより,遺族は,葬儀のときに迷わずに済みますし,意思疎通ができない状態になったときも,医療・介護に必要な情報がわかるという利点があります。

  ただ,遺産の分け方に関する情報に関しては,遺言書があるだろうと思われるかもしれません。しかし,ここに書くのは,自分がどのような意図でその人にこの遺産を分けるとしたかという部分です。これによって,遺言作成の意図に関する紛争を事前に防止することができます。

  こういった意味で活用するのであれば,エンディングノートは非常に有用なツールになりえるものです。

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