相続不動産の評価方法を状況別に解説

相続不動産の評価方法を状況別に解説~遺産分割、遺留分請求、相続税の計算~

    不動産を相続して遺産分割協議を行ったり相続税の申告をしたりするには、不動産を「評価」しなければなりません。ただ不動産の評価方法は複数あるので、どのようにすればよいのかわからず混乱してしまう方も多いでしょう。

    今回は相続不動産の評価方法を状況別に解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。

1.不動産の評価方法には5種類がある

    不動産の評価方法は1つではありません。以下の5種類があり、状況によって使い分ける必要があります。

  • 相続税路線価
  • 固定資産評価
  • 公示地価、基準地価
  • 時価
  • 不動産鑑定価額

    以下でそれぞれがどういった特徴を持つのかみていきましょう。

1-1.相続税路線価(土地)、評価倍率法

    相続税路線価は、相続税や贈与税などの税金を計算するときに土地に適用する評価方法です。基本的には道路に面する土地1平方メートルあたりの単価を定め、土地の面積を掛け算して価格を求めます。田舎の山林などで相続税路線価が定められていない土地の場合、固定資産評価額に一定の数値を掛け算して評価する「評価倍率法」を適用します。

    相続税路線価や評価倍率法によって求められる価額は、時価の8割程度となるケースが多数となっています。

1-2.固定資産評価額

    固定資産評価額は、自治体が「固定資産税」を課税する際の基準とする価額です。土地だけではなく建物にも固定資産評価額が設定されていて、一般的には時価の7割程度となります。

1-3.公示地価、基準地価

    公示地価は国土交通省が定める「土地の基準となる価格」です。地域の標準的な地点である「標準地」をピックアップして不動産鑑定士による鑑定を行い、価額を定めて公表します。

    基準地価は都道府県が定める「土地の基準となる価格」です。「基準地」を設定して不動産鑑定士による調査を行い、価額を定めて公表します。

    公示地価と基準地価は似ていますが標準地と基準地は一致しないケースも多く、評価基準も若干異なるので必ずしも同じ数字にはなりません。

    また公示地価や基準地価は不動産売買の目安になりますが、すべての地点において公示地価が設定されるわけではありません。遺産相続の際、対象地が標準地や基準地でなければ直接適用はできないと考えましょう。あくまで参考数値といえます。

1-4.時価

    時価は実際に不動産売買などの取引が行われる価額です。ただし不動産には「定価」がありません。売主と買主が「相場」をもとに話し合いによって売買価額を取り決めているのが一般的です。そこで「時価」にも一律の数字はなく、不動産会社などに「相場価額」を査定してもらって算出する必要があります。

    ただし不動産会社によっても評価額が異なるため、現実的には複数の不動産会社に査定を依頼して相場価格を推定するケースが多いでしょう。

    もしくは近隣の取引事例を参考にして時価を推測する方法などもあります。

1-5.不動産鑑定価額

    不動産鑑定価額は不動産鑑定士に対象物件を調査してもらい、出してもらった価額です。根拠のある正確な価額といえますが、必ずしも不動産鑑定価額で土地や建物が売れるとは限りません。

    また不動産鑑定士に依頼すると数十万円程度の費用がかかるデメリットもあります。

 

2.遺産分割協議における不動産評価方法

    不動産の評価方法は複数あるので、状況に応じて使い分けなければなりません。遺産分割協議の際には、どの評価方法を用いればよいのでしょうか?遺産分割協議や調停、審判においては基本的に「時価」が適用され、基準時は「遺産分割時」とします。

    たとえば相続開始時には3000万円の価値があった物件でも遺産分割時に2500万円になっていたら、2500万円を基準として遺産分割を進めます。

時価を定める方法

    不動産の時価は一律ではないため、相続人同士で意見が合わずもめてしまうケースが多々あります。全員が納得できるよう、各相続人が任意の不動産会社から査定をとり、平均値を適用するとよいでしょう。

    どうしても合意できない場合には不動産鑑定士に鑑定を依頼する必要があります。

 

3.遺留分侵害額請求の場合の評価方法

    遺留分侵害額請求を行うときにも不動産の評価をしなければなりません。遺留分侵害額請求とは、遺言や贈与によって相続人の遺留分(最低限度の遺産取得分)が侵害されたとき、お金で取り戻すための請求です。

    遺留分侵害額請求の際に適用する評価方法は「時価」であり、基準時は「相続開始時」となります。たとえば相続開始時に3000万円の価値があったけれども遺留分侵害額請求時には2400万円となっていた土地があり、請求者の遺留分割合が4分の1の場合、遺留分侵害額の金額は600万円(2400万円×4分の1)として計算します。

4.相続税申告の際の評価方法

    相続税を計算するときの不動産評価方法は、相続税路線価・評価倍率法、固定資産評価額のいずれかです。土地については相続税路線価または評価倍率によって計算します。建物については固定資産評価額で算定します。マンションの場合には、建物部分と敷地権部分の価額の合計額を評価額とします。

    また相続税計算の際の評価基準時は「相続開始時」となります。路線価は毎年改定されるので、間違えないように「相続開始時の路線価」を調べて適用しましょう。

 

岡山で不動産を相続したらご相談ください

岡山でも土地や建物を相続される方が多数おられます。遺産相続の際には、不動産の評価方法がわからなかったり相続人同士で意見が合わなかったりしてトラブルになるケースも少なくありません。

迷ったときにはお気軽に弁護士までご相談ください。

 

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